Field Coat #3

フリー編集者
小暮 昌弘Kogure Masahiro

正確な年は覚えていませんが、私が持っているField Coatは、1970年代後半に入手したものです。当時、L.L.Beanの製品は、買うのも見るのも難しい時代でした。西麻布の「スポーツトレイン」など、都内でも数店しか扱っていなかったと思います。Field Coatは創業者がデザインした製品としてMain Hunting Shoeと並んで、私がぜひとも欲しいアイテムでしたので、アメリカ本国のL.L.Beanから直接メールオーダーで購入しましたが、パソコンもクレジットカードもなかったので、とても大変でした。

入手にはL.L.Beanのカタログを手に入れることから始まりました。大型の郵便局で「国際返信用切手」を購入、拙い英文と共にアメリカ本国にカタログ郵送のお願いを。数週間するとカタログが送られてきます。中のオーダーシートにField Coatと記入、商品代と郵送代を計算し、銀行で海外向けの小切手を作ってもらい、書留で本国に郵送しました。「by Air=航空便」でお願いすると1ヶ月弱で商品は日本に到着しますが、すぐに自宅に届けられるわけではありません。郵便局から到着した知らせのハガキが送られてきて、それを持って郵便局に出向き、税金を支払うと郵送されてきた製品が手渡されるという仕組みでした。いまでは考えられませんが、多くの手間と時間をかけてようやく手に入れたField Coatです。

当時のField Coatは内側に獲物を入れるゲームポケットが付けられていて、いかにもハンティング用のデザイン。襟の形も開き気味で、シルエットもボクシーでした。その後、私は幸運にも雑誌『MEN’S CLUB』の編集部に入ることができましたが、私のField Coatを見たアメリカ好きの先輩から「そのコートいいなぁ。譲ってくれないか」と言われましたが「これは絶対に手放せません」と何度も断った記憶があります。いまでは頻繁に着ることはありませんが、クローゼットに大事にしまってあります。Field Coatに限らず、L.L.Beanの製品はずっと手元に置いておきたい、そんなアイテムばかりです。

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