独自のユーモアをアートに昇華する現代美術作家の加賀美健さんと、高校生になる娘の丹さん。
子どもが年頃を迎えると親子の関係はギクシャクしがちですが、ふたりの距離はいつも自然なままです。
今回は〈エル・エル・ビーン(L.L.Bean)〉の「ジャパンエディション」を着て、街へと繰り出します。
大きくなった娘と、それを見守る父の姿。最近気になるファッションのこと、家での過ごし方、そしてお互いのことまで、
いつもの調子で言葉を交わす、ふたりのいまを覗いてみました。
Photo:Shinji Serizawa
Styling:Shota Iigaki
Hair&Make up:Miri Sawaki
Text:Tsuji
Edit:Ryo Muramatsu, Tsuji
アウトドアでも使えるし、街でも着やすい。

―親子で撮影するのは今回がはじめてだそうですね。
健:大きくなったなと思って。
丹:すごく緊張しました。
健:本当に? そんな感じしなかったけど。
―丹さんはどんなことに興味があるんですか?
丹:最近はビーズでアクセサリーをつくるのが好きです。昔はよく絵を描いたりしたけど、いまはあまり描いてなくて。
健:また大人になったら描くんじゃない? そんな感じがするけどね。パパもそんな感じだったから。
丹:モデルの仕事もちょっと興味があります。
加賀美 丹(娘)
高校生。現代美術作家の父を持ち、幼い頃からアートやファッションなど、さまざまな表現が身近にある環境で育つ。父との日常をとおして、既成概念にとらわれない自由な感性を育んでいる。
―ファッションも好きなんですか?
丹:好きです。90年代のアメリカのファッションとか、スケーターのスタイルが気になります。
健:ボーイッシュな格好が好きだよね。
―〈エル・エル・ビーン〉の服はどうでしたか?
丹:公園で着た服がいいなと思いました。特にコーデュロイパンツが好きです。ああいうシルエットのパンツは普段穿かないので、新鮮に感じて。
健:お揃いのフィールド・コートを着たコーディネートも似合ってたよ。色もカラフルでよかった。
丹:フィールド・コートの袖を捲ったときに、裏地が見えたのも可愛かった。あえてそういう着方するのもいいなって。サイズ感もすごく着やすかったです。
加賀美 健(父)
現代美術作家。「MISAKO&ROSEN」所属。1974年、東京生まれ。社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)「ストレンジストア」をオープン。
Instagram:@kenkagami
―今回は「ジャパンエディション」の服を着てもらいました。日本人の体型や趣向に合わせたつくりになっているんです。
健:ぼくが着ていたフィールド・コートもサイズがジャストだった。あと、軽かったですね。
―本来のフィールド・コートの雰囲気を残しながら、素材や機能を見直して、着やすくアレンジしているんです。
健:ポケットもいっぱいあって便利。アウトドアでも使えるし、街でも着やすくていいですね。

幼い頃に着たエル・エル・ビーンのセーター。
ー加賀美さんは〈エル・エル・ビーン〉のアイテムを持ってますか?
健:持ってますよ、「ボート・アンド・トート」。最近は古着でも人気があるそうですね。キャンバスがボロボロに擦り切れた「ボート・アンド・トート」を持っている人をたまに見かけるけど、あそこまで使い込んでるのがかっこいい。ぼくが持っているやつはそんなに古いものではないけど。キャンプへ行くときに持って行きます。
丹:キャンプ行くっけ(笑)?
健:バレた(笑)。でも、「ビーン・ブーツ」は長いこと履いてます。雨が降っても基本的にはスニーカーなんだけど、大雨だったり、雪が降ったときに重宝してますね。濡れないし、滑らないし、結構前に買ったんだけど全然劣化しないんですよ。
ー似合いそうですね。
健:「ビーン・ブーツ」をお洒落に履きこなしてたらかっこいい。知り合いにサインペインティングの仕事をしている人がいて、彼が白いペインターパンツに「ビーン・ブーツ」を合わせてたんですよ。履かなそうな人が履いていて、それがすごく洒落てたのが印象的でしたね。
ー丹さんは〈エル・エル・ビーン〉に対して、どんなイメージを持っていますか?
丹:アメリカのトラッドなブランドという印象です。
健:丹が小さい頃に〈エル・エル・ビーン〉のセーターを着てたの覚えてる? 動物柄のやつ。あとはピンクのリュックも〈エル・エル・ビーン〉だったな。刺繍で名前を入れて。
丹:ピンクのリュックは覚えてる。保育園に行くとき背負っていて。お気に入りでした。
ーボーイッシュなスタイルが好きなのは、お父さんの影響ですか?
丹:昔からパンツスタイルが好きでした。いま “平成” が流行ってて、昔のドラマを観たりしてるのもあるかな。『ラブジェネ』とか好きですね。
ー加賀美さんがラペル付きのジャケットを着ているコーディネートはラブジェネ感ありましたよね。
健:全然違うでしょ(笑)。
丹:エグい(笑)。
健:最近「エグい」ってよく言うよね。食べ物に「エグみがある」とかなら分かるけどさ(笑)。
人の悲しみに気づける人になってほしい。
ー家で過ごすときのおふたりは、いつもどんな感じなんですか?
健:朝は、寝起きで機嫌が悪いからほとんど喋ってくれない(笑)。
ー(笑)。丹さんにとって、加賀美さんはどんなお父さんですか?
丹:わりとおもしろいんだろうと思います(笑)。夜ごはんのとき、いつも変なこと言ってるし。
健:「おもしろいんだろう」って(笑)。ほぼ毎日、夕飯は家族で一緒に食べて、団欒しています。その時間が一番よく喋るし、笑っていることが多いですね。

ーお父さんが現代美術作家って、どんな感じなのか気になります。
丹:考えたことはないですが、生まれてきたときからこの環境なので、自然に受け入れています。
健:赤ちゃんの頃から「ストレンジストア」にも来てるし、スタジオも見てるから、丹にとってはそれが普通なんだよね。小さい頃、スタジオで作業してたら入ってきて、床に脱ぎっぱなしの靴下を見て「パパ、これ作品?」って聞かれたことがあって(笑)。
丹:あぁ、あったかも(笑)。
健:その感性を羨ましく思いましたね。小さい頃、父親の靴下を見て、ぼくはそんなこと思えなかったから。
ー英才教育ですね(笑)。
健:丹がまだ保育園に通っていた頃、送り迎えの道中で靴が片方だけ落ちてたりすると、ぼくがいちいち反応してたんですよ。「やばい、かっこいい!」って。そういうのを見て育ってるから、自然とそうなったんでしょうね。いいんだか悪いんだか分からないけど(笑)。
丹:一緒に道を歩いていても急にいなくなったと思ったら、落ちているものの写真を撮っていたり、拾ったりしているので、いろいろ慣れました。
ーこのお父さんでよかったって思うときありますか?
丹:う~ん、思い浮かばない…(笑)。
健:残念…。でも「なんでも買ってくれるところです!」とか言われたらどうしようかと思ったよ。
丹:だけど、「家族思い」なところとか。
健:(泣)。
ー加賀美さんは、丹さんにどんな大人に育ってほしいですか?
健:人の悲しみや辛さにきちんと気づける人になって欲しいですね。そうしたら優しくなれるから。あとは健康でいてくれたら何も言うことないですね。
ーそれが一番ですね。
健:それともうひとつ、変な男に騙されないように(笑)!
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