四季とともに揺らぎながら Outdoorな人生を送る
木こり・イベントオーガナイザー・ギターリスト 高橋淳

季節の移ろいとともに、揺らぐ。
木々が芽吹いて花々が咲き誇れば、心ははずんでOutdoorを謳歌する。
枯れ葉が落ちて雪に閉ざされれば、山中の家にこもって内省を繰り返す。

そのサイクルは、生まれ育った八ヶ岳西麓の自然とともにある。
高校中退後、ミュージシャンを志して上京。21歳でロサンゼルスへ渡り、帰国後は再び故郷に戻ってきた。
仲間うちの集まりから始めたイベント「乙事キャンプ」は、規模を膨らめたり縮めたりしながら今なお続く。
並行して始めた林業も、思いがけずのめり込んで今に至る。

ミュージシャン、イベンター、そして林業。
Outdoorと密接にリンクする“揺らぎ”の中でバランスを取りながら、三足のわらじを履きこなす。

山に分け入って 自然と文明をつなぐ

焚き火の揺らぎを、何よりも好む。

それは、人間が文明の一歩を踏み出した原初の揺らぎ。広葉樹に囲まれた山の中腹に居を構え、広い敷地内の庭先に焚き火の石かまどを組んだ。時間が過ぎるのを忘れ、いつまでも眺めていられるのだという。「ゆらぎというものなんでしょうか、心が落ち着いていられます。いさせてくれるのであれば、ずっといたいくらい」と笑う。

長野県諏訪郡富士見町。細い未舗装の砂利道を分け入った山の中腹で、妻と子ども2人と住まう。夏は鬱蒼と生い茂る木立が影をつくって過ごしやすい半面、冬は氷点下15度前後まで冷え込む。厳寒の中でもせめてOutdoorを感じられるように、居宅1階の半分ほどのスペースは土間にした。

コロナ禍で時間ができたタイミングで切り開いた庭先の森には、手作りのブランコを設け、バーベキューをできるスペースも。緑に囲まれた自由な遊び場を、子どもたちは「わくわくランド」と名付けた。子どもだけでなく、大人も心が躍る空間となっている。こうして故郷の自然を享受し、山々に手を入れながら暮らす。仕事の一つは、林業だ。

木を山肌に植え付け、ある程度まで育ったら間伐して出荷する。残った木々を最後に全部伐採して、再び植林する。始めた当初、故郷の山々は故郷に限らず人間の手が入らず荒れていた。解決策として林野庁が立ち上げた「緑の雇用」事業の一環で、知人に誘われて林業の世界に足を踏み入れたのだという。今までは仕事も長続きしなかった性分だが、この世界にロマンを感じて生業に。自身は「木こり」と名乗る。

長野県諏訪郡富士見町。細い未舗装の砂利道を分け入った山の中腹で、妻と子ども2人と住まう。夏は鬱蒼と生い茂る木立が影をつくって過ごしやすい半面、冬は氷点下15度前後まで冷え込む。厳寒の中でもせめてOutdoorを感じられるように、居宅1階の半分ほどのスペースは土間にした。

コロナ禍で時間ができたタイミングで切り開いた庭先の森には、手作りのブランコを設け、バーベキューをできるスペースも。緑に囲まれた自由な遊び場を、子どもたちは「わくわくランド」と名付けた。子どもだけでなく、大人も心が躍る空間となっている。こうして故郷の自然を享受し、山々に手を入れながら暮らす。仕事の一つは、林業だ。

木を山肌に植え付け、ある程度まで育ったら間伐して出荷する。残った木々を最後に全部伐採して、再び植林する。始めた当初、故郷の山々は故郷に限らず人間の手が入らず荒れていた。解決策として林野庁が立ち上げた「緑の雇用」事業の一環で、知人に誘われて林業の世界に足を踏み入れたのだという。今までは仕事も長続きしなかった性分だが、この世界にロマンを感じて生業に。自身は「木こり」と名乗る。

「高度経済成長期とバブル期に、日本の山は放っておかれてしまいました。輸入材のほうが安価に入手できるからです。それでどんどん荒れてしまったんですが、その山や木はもともと祖父母の世代が植えてくれて、親の世代で放っておかれたもの。それを孫の世代が手入れをすることにロマンを感じました。未来の子孫に良い暮らしを――と考えてくれたんだろうなと思うと、うれしくて楽しくなったんです」

林業は自然と文明をつなぐ営み。
それは同時に、樹木を介して世代間のミッシングリンクをつなぐ営みでもある。

さらに林業から派生し、道づくりや庭造り、フィールド造りなど、さまざまな仕事が舞い込むようになったのだという。

ミュージシャンとイベンター 調和を求めて

残り二足のわらじは、文明との間で揺らぐ。プラスにもマイナスにも触れ、最終的に差し引きゼロとなる。

若かりし頃は、生まれ育った地の自然にありがたみを感じることもなかった。中学校時代からギターを始めてバンドを組み、音楽活動に没頭。高校を途中で辞め、すぐに東京へ行った。だが「何もない」と嘆いていた環境が、実は恵まれていたものだと知る。上京して以降も居を移し、多摩川沿いの自然を感じられるエリアに住んだ。

そして21歳のときギター一本を担いで渡米し、視界が開けた。野外イベントとの出会いだ。「もともと音楽が好きでキャンプもアウトドアも好き。それが全部融合している世界があるのを知って、日本に戻って同じようなイベントを自分でやりたいと思うようになりました」。ロサンゼルスに滞在していた2カ月ほどの期間で、その思いを募らせる。

音楽活動も「アーティストとして『いつ辞めるか』とかは関係ない」という感覚に変わり、26歳で帰郷。乙事キャンプの運営に力を注いだ。テーマは「繋がりと調和」。富士見町町民広場キャンプ場を舞台に、ライブやDJ、パフォーマンスなどのステージを設ける。もちろん焚き火は欠かせない。囲んで語らって、酒を酌み交わす。出会い、与え、受け取る。自然と人間が繋がり、調和する。

そして21歳のときギター一本を担いで渡米し、視界が開けた。野外イベントとの出会いだ。「もともと音楽が好きでキャンプもアウトドアも好き。それが全部融合している世界があるのを知って、日本に戻って同じようなイベントを自分でやりたいと思うようになりました」。ロサンゼルスに滞在していた2カ月ほどの期間で、その思いを募らせる。

音楽活動も「アーティストとして『いつ辞めるか』とかは関係ない」という感覚に変わり、26歳で帰郷。乙事キャンプの運営に力を注いだ。テーマは「繋がりと調和」。富士見町町民広場キャンプ場を舞台に、ライブやDJ、パフォーマンスなどのステージを設ける。もちろん焚き火は欠かせない。囲んで語らって、酒を酌み交わす。出会い、与え、受け取る。自然と人間が繋がり、調和する。

「文明は大事だし経済が発展することも大事。でも単純に、人間は人種も性別も宗教も関係なく、酸素と光と水がなければ生きていけないですよね。それを汚さないように守っていれば何をしていてもいいと思うんです」

自然と文明との中でバランスを取る自身の感覚は、実にユニークだ。文明に針が触れすぎれば「マイナス」とカウントし、Outdoorの中で「プラス」の補正をかけて揺らぎをゼロに戻す。逆にOutdoorを満喫しすぎてプラスに触れすぎると、あえて不健康に振る舞う。タバコを吸い、酒を飲む。夜ふかしもする。“罪悪感なき堕落”をモットーにしながら、揺らぎを修正する。

揺らがない唯一のもの アウトドアギアへの信頼

ただ、揺らがないものが一つだけある。
アウトドアギアへの信頼だ。

特に冬は厳寒の中に暮らし、凍てつく寒さのなかで林に入っていく必要がある。チェーンソーなどで作業をしているときは体温が上がるからまだいいが、休憩時間は入念な防寒対策が必須。「お昼の弁当の時間とかは地獄で、ちゃんとした服でないと本当に危ない寒さになります」と話す。「死にます」という語り口こそ冗談めかしていたが、比喩ではなく生命の危険を感じるレベルだという。

さまざまなアウトドアブランドのギアにアンテナを張り、知人からも情報を得て自ら試す。「頑張って商品開発をしてくれているからなんでしょうけど、通気性がいいのに暖かい製品もあって驚いています。5〜6枚を着込んでいた昔に比べたら今は半分くらいで済んでいるので、本当に楽になりました」と話す。

ウエアだけでなく、シューズに対する信頼性も高まっている。道なき道に踏み入れる林業は、作業中に枝が刺さったり切れたりするのが当たり前。そのため基本的には専用の長靴や足袋を履くのが従来の常識だった。「昔は結構お金をかけて買った靴にズボッと穴が空いて一瞬で終わったりしていましたが、最近の製品はそういうこともありません」。現在ではアウトドアブランドのシューズで山に入ることもあるという。

さまざまなアウトドアブランドのギアにアンテナを張り、知人からも情報を得て自ら試す。「頑張って商品開発をしてくれているからなんでしょうけど、通気性がいいのに暖かい製品もあって驚いています。5〜6枚を着込んでいた昔に比べたら今は半分くらいで済んでいるので、本当に楽になりました」と話す。

ウエアだけでなく、シューズに対する信頼性も高まっている。道なき道に踏み入れる林業は、作業中に枝が刺さったり切れたりするのが当たり前。そのため基本的には専用の長靴や足袋を履くのが従来の常識だった。「昔は結構お金をかけて買った靴にズボッと穴が空いて一瞬で終わったりしていましたが、最近の製品はそういうこともありません」。現在ではアウトドアブランドのシューズで山に入ることもあるという。

「たとえ冬で家にこもって内観していても、無限に広がっている『外』は常に意識していたいです。天気が良ければ外で昼間からビールを飲みたいし、家の中で食べるよりは外の方が絶対においしいと思います」。ギアがサポートする仕事も、山中で家族と暮らす日々の生活も、全てはOutdoorとは不可分。自然と調和し、内的な“揺らぎ”の中でバランスを取りながら生きていく。軽やかに、しなやかに。そして時には、遊ぶように。

富士見 森のオフィス

取材協力: 富士見 森のオフィス

八ヶ岳の麓、長野県富士見町で2015年末にオープンしたコワーキングスペース。
元大学の保養所を改装した木造施設には、コワーキングスペース、個室オフィス、食堂・キッチンを備え、敷地内には宿泊棟やキャンプサイトも併設されている。
町への移住促進を目的に設立された同施設には、都心からの移住者や二拠点居住者などが集まり、繋がりの中から様々なプロジェクトが生まれ、これからの新しい働き方を体現する場として注目を集めている。

https://www.morino-office.com

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