ソーシャル・ディスタンスの時代のハイキング

山で安心・安全に過ごすための、新ルールをご紹介します。

緊急事態宣言下でステイ・ホームが推奨され、多くの山でも入山自粛が求められました。宣言が解除された今、誰もが外で過ごしたいと強く願うのは、ごく自然なことです。折しも季節は夏。急速にハイキングの人気が高まり、山には多くの人が集まりつつあります。この楽しさを、この先もずっと続けるためには、いくつか注意し、実行すべきことがあります。次のハイキングに取り入れられる、いくつかのヒントをご紹介しましょう。

ハイキングにもソーシャル・ディスタンスを

米国疾病予防管理センター(CDC)が提唱するソーシャル・ディスタンスは、他者から6フィート(約2m)。ハイキングでもその基準は変わりません。常にそれを意識し続けるのはなかなか大変ですが、山で過ごす時間にも、できるだけソーシャル・ディスタンスを意識した行動を心掛けましょう。それこそが、コロナウィルスの不安を遠ざけ、収束させるために私たちがとれる最善の行動です。

ハイキングは、少人数で

仲間と一緒のハイキングは、何よりも楽しいもの。しかしその楽しさは、ついついソーシャル・ディスタンスを忘れさせてしまいます。今、ハイキングの同行者として一番ふさわしいのは、あなたとともに暮らす家族や恋人。互いに2mの距離を取り、混雑に備えてマスクを用意するなど、適切な防御策をしっかり講じたうえで、ハイキングを楽しみましょう。

時間をずらしてハイキング

夏には、多くの登山道が人で溢れます。混雑を回避するコツは、時差通勤と同じ。ほとんどの人が家にいる時間、つまり早朝や夕方に山に行けばいいのです。混雑が回避できる可能性が高まる上に、壮大な日の出や日没、星空と出逢うボーナスまであるかもしれません。

山は、ひとつではありません

登山道の混み具合は、登山口行きのバス乗り場や駐車場を見れば知ることができます。もしそこに行列を発見したら、行列に加わるのではなく、より混雑の少ない他の山に移動しましょう。メイン州野生生物局のコミュニケーション・ディレクター、マーク・ラティ氏は、次のように語っています。「私たちは、ハイカーのみなさんに常にA、B、Cの計画を立てることを求めています。登山口に車が多すぎる場合は、別の場所でハイキングを楽しんでください」

周回コースを見つけよう

同じ登山道を往復するピストン・ルートでは、絶えず誰かとすれ違い続けることになり、ソーシャル・ディスタンスを維持するのはなかなか大変です。だから、ハイキング・ルートはできるだけ周回コースを探しましょう。この場合は、多くの人が同じ方向を向いているので、距離を維持するのがずっと簡単になります。

道を外れるのが、正しい道

今、メイン州の国立公園では、登山道で人とすれ違う場合、登山道から逸れ、立ち入り禁止区域に足を踏み入れることが推奨されています。本来なら、登山道から逸れることは完全なルール違反。しかし、専門家や公園の管理部門は、コロナ禍が収束しない現状においては、そのルールを忘れるよう勧めています。人とすれ違う場合の対処法は次のとおりです。自身の安全を確認した上、できるだけ植物を避け、登山道から直角に2m離れる。人とすれ違うのを待ち、その後ゆっくりと登山道に戻るー。日本でも参考にできるかもしれません。

山にも、マスク持参

ハイキングにマスクが必要かどうかについて、多くの議論がありました。結論から言えば、夏場のマスクは熱中症などのリスクを高めるため、ハイキング時に常時マスクをすることは現実的とは言えません。しかし、ソーシャル・ディスタンスを確保するために、常にマスクは携帯しましょう。人とすれ違うときだけマスクをすれば、互いに不安にならずに済むでしょう。忘れてしまった場合には、バンダナやタオルなどで顔を覆うことも有効です。

山でも、手を清潔に

石鹸を使った20秒以上の手洗いは感染予防の最善策。しかし、ハイキング・コースに水道はなかなかありません。だからハイキングに出掛けるなら、水や軽食、レインウエアとともに、除菌スプレーや除菌シートを持参することをお忘れなく。ピクニック・テーブルやベンチなどに触れた後やスナックやランチを食べる前、必ず手を消毒する習慣を付けましょう。

距離を保ち、自分流で

のんびり木々を眺め、ゆっくり散策を楽しむ。それはとても素敵な森での過ごし方です。しかし、木々だけでなく、周囲に目を配ることもお忘れなく。渋滞を招いたり、登山道をさらに狭めたりしないよう、仲間で一カ所に留まることは避け、一列で歩きましょう。他のハイカーに道を譲るときのルールについては、上記のコラムでご紹介したとおりです。

最後に、専門家の意見に耳を傾けましょう

あなたの不安を少しでも和らげるために、専門家の意見をご紹介しましょう。メイン州CDCのディレクター、ニラヴ・シャー氏は、次のように語っています。「24時間年中無休で、コロナウイルスへの感染を気にする必要はありません。メイン州CDCは、外に出て散歩をして、新鮮な空気を吸うことを推奨します。太陽を浴びて、自然の美しさに触れてください。ただし、その間にもソーシャル・ディスタンスを保つことはお忘れなく。責任を持って、素晴らしいアウトドア・ライフをお楽しみください」

ページトップに戻るページトップ
に戻る