「原宿キャシディ」店長 八木沢博幸さん

デザイン事務所に勤務後、洋服好きが高じて「原宿キャシディ」の前身であるミドリヤに入社。以来45年にわたって店頭での接客販売から仕入れ、ショップオリジナル商品のデザインまで手掛ける。またファッションのご意見番として業界内外を問わずファン多数。

Instagram:@cassidy_tokyo

ともに年齢を重ねて大人になった。アメリカが誇るべき財産ですよね

八木沢さんは1956年生まれの現在67歳。10代でファッションに目覚めて50年以上になりますが、エル・エル・ビーンを知ったのはいつ頃ですか?

19〜20歳のとき、雑誌の『メイド・イン・U.S.A. カタログ』だったか『メンズクラブ』で知りました。それで当時輸入していた銀座の「ソニープラザ」でベルトを買ったのが最初です。

その後はメールオーダーカタログを手に入れて、バッグやツイードジャケット、ウィンドブレーカーなどを本国から通販しました。なかでも思い出深いのは、自宅のインテリアにしようと注文した薪入りの麻袋。ただ、薪は燃料に該当するので個人輸入が禁止されていたらしく、税関で中身が没収されて届いた(笑)。袋だけでも格好良かったので部屋に飾っていました。

愛用の『ボート・アンド・トート』も相当な年季が入っていますね。

これも1970年代後半に、アメリカからメールオーダーで買ったものです。ハンドルは擦れてダメージを負っていますが、本体に破れはなくて今でも問題なく使えます。実際に持ち歩くことは減ったものの、青春時代から一緒に年齢を重ねて大人になったので、思い入れが強くて捨てられないですね。

この当時のモデルは、手持ちが前提でハンドルが短いのですよ。現行品は腕を通して肩にも掛けられるように少しだけ長くなっている。内側の縫製も微妙に違います。昔から変わらない定番アイテムではあるけど、実用性や強度の向上を考えて細部が進化しているのですよね。

バッグとしての使い勝手はいかがですか?

とくにコレが活躍したのは、僕がデザイン学校に通っていた頃。大容量で角張ったフォルムが、A3やB4サイズの木製パネルを入れるのに最適でした。仕切りもないので、エアブラシや画材といったカタチが不揃いな荷物もイッサイガッサイを詰め込めるし、丈夫だから重くなっても安心。とても役立ちしました。

あと自宅では、色違いのミディアムサイズをマガジンラック代わりに活用しています。置いた姿もサマなるし、別の部屋まで何冊も移動するのは重いのでバッグだと都合がいいんです。

肉厚のキャンバス生地とボックス型の形状がもたらす安定感も魅力のひとつだとか。「床に置いても自立して中身が見渡しやすく、すぐに持ち手をつかめるのが便利。最初は硬いハンドルも、使い込むうちに手に馴染んでくる。長く付き合うほど真価がわかります。」

八木沢さんが思う『ボート・アンド・トート』の魅力とは?

現代であればスマホなどを入れられるサブポケットがあると便利なのでしょうが、それを求めるなら違うバッグでいい。『ボート・アンド・トート』は、とことんシンプルなところに価値があると思います。

そして今もメイド・イン・メインを続けているのは本当に貴重。アメリカに憧れて、ずっと見続けてきて、どんどん米国製が失われて行くのを目の当たりにしてきたので、それでも頑なに貫いているのはアメリカの財産ですよね。

「グラフィックデザイナーを目指して専門学校に通っていました。結果的には現在の仕事に就きましたが、今でも絵を描くことは好きです。」エル・エル・ビーンのアイテムをドローイングしたこちらも八木沢さんによる直筆で、店頭ディスプレイ、ブログやSNSで公開されている。

現在は「原宿キャシディ」でも取り扱われていますね。

エル・エル・ビーンが数年前から卸売りを始めて、真っ先に仕入れました。こうして自分が販売できることが感慨深く、とても光栄です。ついつい接客にも熱がこもってしまいます。

とある書籍に記述があるのですが、作家のアーネスト・ヘミングウェイは創業の数年後からエル・エル・ビーンを愛用していたそうです。しかもメールオーダーで100回くらい買い物をしていた大ファンで、友人にまで薦めた本人の手紙も残っている。希代の洒落者として名を馳せる彼が、そこまで惚れ込んだブランドであることも改めてスゴいと感じます。

「グラフィックデザイナーを目指して専門学校に通っていました。結果的には現在の仕事に就きましたが、今でも絵を描くことは好きです。」エル・エル・ビーンのアイテムをドローイングしたこちらも八木沢さんによる直筆で、店頭ディスプレイ、ブログやSNSで公開されている。

アーティスト 田中シェンさん

ファッションモデルや女優業のほか、クリエイティブスタジオ「シェンタスティック」を主宰し、動画クリエイターやイラストレーターとしても活躍中。またインスタグラムで発信する「田中のおしゃべり日記」も人気。英語、中国語、日本語を話すトリリンガルでもある。

Instagram:@shen_tanaka

このトートは暮らしを描き出すキャンバス

FIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)や文化服装学院に通われ、専門的にファッションを学ばれてきたと伺いました。

学生時代はモードの世界を志して、私自身も尖ったファッションをしていました。当時は着た途端におしゃれに見えるようなわかりやすいデザインが好きで、たくさんのワードローブを所有することがよいと思っていましたね。

ただ、年齢を重ねるとともに洋服本来の存在意義とか、生活やシーンに紐づいているファッションに興味が向くようになって。今はパッと見の個性や華やかさより、隠された機能や実用性の伴ったアイテムに惹かれます。

最近はどんなアイテムを着ることが多いですか?

メンズ服を選ぶことが増えました。男性のファッションはミリタリーやワーク、スポーツ、アウトドアなど、用途ありきでデザインされたアイテムが中心ですよね。その背景にあるヒストリーやストーリーを調べて、ディテールの意味や変遷を知るのが面白い。

あと山登りをする仕事仲間からウェアやギアのことも教えてもらいました。普段からアウトドアウェアを街で着るし、近頃はフィッシング生まれの洋服も取り入れています。

ご自身もアウトドアで遊ばれることはありますか?

頻繁ではないけど、友人と野外フェスや川下り、河原でテントサウナとか。せっかく日本に住んでいるなら四季との触れ合いを楽しみたいし、やっぱり自然のなかで遊ぶのは気持ちいいですね。

「最近は荷物を減らして、なるべく必要最低限に絞っています」というバッグのなかには、財布&マイボトル、文庫版とタブレットが。「ラージサイズのビーン・トートならスペースに十分な余裕があるので、暑くなって脱いだアウターや買い物したモノも入ります。」

エル・エル・ビーンとの出会いも、そうしたキッカケですか?

海外の方がエル・エル・ビーンのフリースを着ている写真をネットで見て、コレ可愛い!と思ったのが最初。そこから、ほかのラインアップもチェックするようになりました。ヴィンテージ古着も好きなので、昔のアイテムをユーズドで探すこともあります。

昨年スタートした日本発のエル・エル・ビーン ジャパンエディションにも欲しいアイテムがいっぱいあります。この秋冬はメンズのバーズアイ柄のセーターをヘビロテしました。

『ジップトップ・ボート・アンド・トート・ウィズ・ポケット』のラージサイズも愛用中。こちらは以前販売されていたシーズナルカラー。「コーディネートに映えるオールグリーンが気に入りました。スマホなど頻繁に出し入れする小物に最適なアウトポケットも便利です。」

『ボート・アンド・トート』も愛用されていますね。

もともとは氷の塊を運ぶためのバッグというだけあり、とにかく丈夫ですよね。少しくらい汚れてもサマになるし、使い込んでクタクタになった風合いも雰囲気がいい。だから気を遣わずに持てるし、タフな作りでラフに扱えるからデイリーに長く付き合える。

すると、ますます身近な存在になり、より日々の暮らしに根付いて、自分のライフスタイルを描き出すキャンバスのようなキャンバストートに育っていく。今の私がファッションに求めているのは、まさしくそれです。

『ジップトップ・ボート・アンド・トート・ウィズ・ポケット』のラージサイズも愛用中。こちらは以前販売されていたシーズナルカラー。「コーディネートに映えるオールグリーンが気に入りました。スマホなど頻繁に出し入れする小物に最適なアウトポケットも便利です。」

モデル 金城拓馬さん

東京都内の某セレクトショップ、古着店の元スタッフで、ミリタリーアイテムを中心としたファッションへの造詣が深い。現在はフリーランスのモデルとして、ブランドの広告や映像など幅広く活躍する。趣味は登山・マラソン。

Instagram:@kinchan_0922

自分らしく持てる、山旅のサブバッグ

以前はセレクトショップのスタッフとしても活躍されていましたが、ファッションに目覚めたのはいつですか?

高校時代ですね。当時はお金もないので下北沢のユーズドショップなどをひたすら回り、少しずつ服を揃えていくような日々でした。それでようやく服が揃ってきたら、じゃあ次はカバンどうしよう?となって。古着の入口ってやっぱりアメリカなので、メイド・イン・USAと聞くとどうしても惹かれるわけですが、その時にちょうど出会ったのがエル・エル・ビーンの『ボート・アンド・トート』でした。今と変わらず当時においてもアメリカらしいギア感を体現する定番。買っても間違えることはないだろうと決心して購入したのを憶えています。

おしゃれに目覚めて初のバッグとは、思い入れもひとしおですね。改めて『ボート・アンド・トート』の魅力は何だと思いますか?

使えば使うほど自分だけの味が出てくること。あとは汎用性の高さですね。トラディショナルなアイテムにも合うし、逆にキレイめのジャケットスタイルのハズシとしても使える。最近はアウトドアにハマって服装もガラリと変わったのですが、もちろんフィットする。時代とともに自分の趣味嗜好が変わっても安心して取り入れられるのが、『ボート・アンド・トート』の魅力だと思います。

最近は登山にハマっているそうですね。

3年前、長野県・茅野市が制作するPR動画に出演させてもらったときに初めて山に登り、そこから一気に山の虜になりました。都会の喧騒から離れて、自然のなかを静かに過ごす時間がたまらなく心地いいし、家のなかにいると沸々と湧き上がる雑念も山にいるとクリアになるから不思議。今では北アルプスを縦走するなど、雪山にも登るほど山狂いな日々を過ごしています。

もともと体を動かすことが好きで、休日は必ず外に出たい派。山に行けない日もこうして多摩川沿いを散歩しながら、外でコーヒーを飲んだり本を読んだりする時間を大切にしています。

山の旅に『ボート・アンド・トート』を連れて行くことも?

さすがに山を登るときは使えないけど、たとえば着替えや下山してから温泉に行くときのお風呂セットを入れたり、街を散策するときのお土産を入れたり、山旅のサブバッグとして重宝しています。今年はハイカーの憧れの場所のひとつでもあるニュージーランドへ行き、初の海外登山に挑戦するのですが、もちろんこのバッグも一緒に連れて行く予定です。

アウトドアを親しむようになって、ご自身のファッションやモノ選びに変化はありましたか?

フィールドと街をシームレスに使えるデザインや機能を併せ持っているか、という視点でモノを選ぶようになりました。昔は絶対に古着じゃないとイヤとか偏屈なところがあったのですけど(笑)、固定観念を捨てて、より自分らしいファッションを選べるようになった気がします。そういう意味ではこの『ボート・アンド・トート』も、購入した当時より今の自分のほうが似合っているんじゃないかと思っています。年齢を重ねてもっとおじさんになったとき、さらに自分に馴染んでいくのだろうと思うと楽しみですね。

この日も多摩川の河川敷でのんびりしたいとピクニック道具を入れてきた金城さん。「こういうところでも汚れを気にしなくていいし、タフでしっかり自立する。それに僕が使用しているラージサイズは35ℓと大容量で、マットやガスバーナー、ボトルや本などいろんなギアを無造作に詰め込めるので便利です。」

インテリアスタイリスト 遠藤慎也さん

雑誌、広告などのインテリアスタイリングから住宅展示場や店舗のディスプレイまで手掛ける敏腕スタイリスト。著書に『インテリアスタイリストのネタ帖』(三才ブックス刊)。趣味はキャンプ。最近は事務所裏の畑を借りて野菜を栽培するなど、土いじりにも勤しむ。

Instagram:@bootsyork.style

いちインテリアとしても優秀なバッグです

カトラリーやオブジェなどが並んでいて、まるでお店のような事務所ですね。やはり現場にもたくさんのプロップを持っていきますか?

案件にもよりますが、僕は展示場や店舗など空間そのものを作る仕事も多いので、雑貨やら家具やら詰め込むと2tトラックいっぱいになることもざらにあります。それだけの量だと搬入・搬出に何往復もしなければなりません。什器や家具は仕方がないにしても、雑貨などの細かいプロップはまとめて効率よく運びたい。そんなときに重宝するのが、『ボート・アンド・トート』です。

サイズはエクストララージを使っていますね。

エクストララージは容量が大きいというだけでなく、ラージよりハンドルが長くなる分、肩に掛けることができるのがメリット。コンテナを使うこともあるのですが、そうすると両手が塞がっちゃうから不便で……。肩に掛けられたら運ぶのは楽だし、作業もしやすいです。あとは分厚いキャンバス地ゆえにタフで、鋭利なものを入れたり手荒く使ってもネガティブな気持ちにならないのがいい。むしろクタクタになって汚れたほうがサマになるという有り難さ。リースバッグとしてかなり役立ってくれています。

ソフトな雑貨類は『ボート・アンド・トート』に入れて持ち運び。「マチも高さもしっかりあるので、プロップの頭がある程度ハミ出しても倒れないのでガンガン突っ込んでいます。」

リースバッグとして以外に、どんな風に使っていますか?

普段使いはもちろんですが、撮影時にバッグ自体をインテリアプロップとして使うこともよくあります。ソファの上に置いたり、クロゼットに飾りつけたりとか。デザイン自体がシンプルなので、空間のなかにあっても主張しすぎません。

『ボート・アンド・トート』って、いい意味で気負わず持てるラフさというか、格好よすぎないところがいいと思っていて。一方で色の入り方なのかな、程よい柔らかさや可愛さも備えている。このバランスがちょうどよくて、ファッション性も然ることながらインテリアとしての偏差値もかなり高いと思います。

ソフトな雑貨類は『ボート・アンド・トート』に入れて持ち運び。「マチも高さもしっかりあるので、プロップの頭がある程度ハミ出しても倒れないのでガンガン突っ込んでいます。」

サイズ違いで持っている『ボート・アンド・トート』をマトリョーシカ的に収納。「バッグ以外にもお気に入りのマフラーを入れて柄を見せるのもアリです。」

インテリアとして使えるのは目からウロコです。遠藤さんが実践しているインテリア活用術があったら教えてください。

マチがあってしっかり自立するので、ソファの横に置いてマガジンラックにするのがオススメ。エクストララージだと少し大きすぎる場合は、ミディアムやラージサイズだとちょうどいいかもしれません。またグリーンのプランターカバーにすると部屋のアクセントになりますし、あとはバッグをまとめて入れる収納としても使えます。フックに引っ掛けておくと省スペースですし、あえてスツールの上とかに無造作に置いて中身を覗かせるのもおしゃれです。

遠藤さんが考える 『ボート・アンド・トート』の魅力とは何ですか?

このトートバッグの最大の魅力って、アメリカらしいユーティリティな部分だと僕は思っています。余計なデコレーションやディテールが何ひとつなくて “道具”としての完成度が高い。だからこその親しみやすさやラフさが、一定のスタイルにとらわれない汎用性を生み出しているのではないでしょうか。

ページトップに戻るページトップ
に戻る
ページトップ
に戻る