着こなしてくれたのは、この2人
ファッションライター いくら直幸さん
人気アメカジメーカーの広報、ストリートファッション誌の編集者を経て現職25年目。雑誌&ウェブマガジン、有名ブランドや大手セレクトショップの自社メディアに寄稿するほか、近年はYouTube番組への出演、テレビ番組のコーディネート対決コーナーで審査員を務めるなど活動の幅を広げている。
ファッションインフルエンサー kinoko.さん
YouTube動画チャンネル『kinokoさん』や書籍の出版、ラジオ番組のレギュラー出演などマルチに活躍。また公式ポッドキャスト番組『kinoko.の小部屋 〜服と私と気になるモノコト〜』を、毎週木曜19時よりSpotifyほか各種ストリーミングサービスにて好評配信中。さらに自身のブランドも手掛ける。
メンズ・レイヤード術①
オリジナル・フィールド・コート + スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ
細かなアップデートを重ねながらも、基本デザインを変えずに作り続けられてきた定番モデル。表地には耐水加工のタフなコットンキャンバス、身頃のライニングには柔らかなコットンフランネル、袖裏には滑りのいいナイロンを採用し、素肌に触れる襟&カフ裏に配されたソフトなコーデュロイがアクセントに。
「スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ」は、1936年にL.L.Beanの秋のカタログで誕生したロングセラー。その名の通り、スコットランド伝統のタータンを受け継ぎ、一部の柄ではスコットランド・タータン登録局のアーカイブから選定したチェックを採用している。こちらは、着込んで色褪せたような淡いトーンがこなれた印象の一枚。メンズモデルの襟はボタンダウン仕様。
「昔ながらのアメカジが改めて新鮮に感じる今日この頃。このフィールド・コートとネルシャツは、まさにそれを体現するアイテムです。その古きよきムードを存分に楽しむべく、正統派のブルージーンズとビーン・ブーツを合わせて、アメリカの田舎町に暮らすオジサンのようなイメージにスタイリングしました。ここまで全身をオーセンティックにまとめると骨太で土臭い印象に陥りがちですが、いずれも淡いトーンで揃えれば軽やかでクリーンに見せることができます。あえてイナたく、これくらい自然体でラフに着こなすのが最近の気分ですね」
ウィメンズ・レイヤード術①
インサレーテッド・キルト・フィールド・ジャケット + スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ
フィールド・コートの無骨でクラシカルなデザインを踏襲しつつ、ジャケット丈へとアレンジすることで旬のワイド&ショートなバランスに。また、軽くて暖かい中綿入りのキルティング仕立てなので寒い季節も頼もしく活躍。
同シリーズは、丈夫さと滑らかな肌触りを兼ね備えた長繊維コットンを使用しているのも特徴。こちらはそんな上質な素材感に、こっくりとしたレッド&グリーンのオリジナルチェックが映える一枚。秋冬らしい落ち着きと、温もりを感じさせる配色も魅力だ。ウィメンズモデルの襟はレギュラーカラー仕様。
「ネルシャツはよく着るアイテムです。なかでもエル・エル・ビーンの一枚はサイズ展開も豊富なので、メンズライクに大きめで合わせられるのが好み。このフィールド・ジャケットは、柔らかく丸みのあるキルティング素材が可愛いですね。ただ、ともすると子供っぽく映り、私の顔立ちや小柄な体型だと少年のように見えることも。そこでカーキからブラウンの渋めのカラーを基調にして、端正なパンツやサングラスでハンサムな雰囲気にまとめました。太めのベルトをウエストマークにして腰の位置を高く見せたり、艶やかなゴールドのバックルをアクセントにしたり、上品な印象を加えているのもポイントです」
メンズ・レイヤード術②
ビーンズ・フィールド・コート・インサレーテッド + スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ
ブランドのアーカイブに敬意を払いながら、日本の観点で再編集を行うジャパン・エディションの一着。素材はスエードのようなタッチ、しっとりとした光沢をたたえる高密度タフタ。そこにハイテクなストレッチ中綿「3DeFX+®」を封入し、軽量な着心地と優れた保温性を両立。
同シリーズの生地は、長年パートナーシップを築くポルトガルの織物工房で生産。古くから繊維産業が盛んな土地の技術を生かし、丁寧にフランネルへと仕立てている。そんな伝統を大切にする姿勢は、色柄にも宿る。こちらはスコットランドの伝統的なタータンをベースに、ネイビーへレッドの格子を効かせた、トラッド感あふれる一枚だ。
「このフィールド・コートは、英国のワックスジャケットのような佇まい。なので、ネルシャツも同じくイギリス由来のタータン、さらに足元にも UK を象徴するスエードシューズを取り入れてブリティッシュトラッドな装いに。となるとボトムは、クラシックなツイードのトラウザーズを穿きたくなりますが、あまりにもセオリーどおりだとコスプレっぽく見えてしまう。そこで少しヒネリを利かせて、デニムスラックス的なブラックの一本を選択。さらに全体のシックなトーンと、ゆるめのサイズ感で今っぽさを演出しました。バッグはダークオリーブのアウターとリンクする、オリーブカラーでトリミングされたビーン・トートで決まりです!」
ウィメンズ・レイヤード術②
ビーンズ・フィールド・コート・インサレーテッド + スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ
ファブリックや機能性は上のメンズモデルと共通のまま、軽快感のあるショート丈へと落とし込んだウィメンズ版。ネイビーとパープルの中間色となる絶妙な “ ナス紺 ” も相まって、グッとモダンな雰囲気に。
同シリーズは、糸の段階で色を染めてから織り上げる“糸染め”を採用。深みのある発色を生み出せるうえ、洗濯や摩耗による色落ちが起こりにくく、美しいチェックを長く楽しめるのもイイところ。こちらは深いブラウンを主役に、多色使いで奥行きを出したチェック柄。カントリーテイスト漂う一枚だ。
「色のキレイなアウターと彩り豊かなチェックシャツが華やかな分、カラフルにならないようボトムには落ち着いたトーンを。とはいえ、ここに黒のパンツを投入するとドレッシーすぎるので、トップスのカジュアルさを受け止めながらもシックにまとまるネイビーを選びました。またアウトドアテイストに偏るのを避けるべく、程よいドレープ感のある上品なフレアスラックスで都会的なニュアンスを足しています。コーディネート全体を見たときにダークトーンばかりだと重い印象になってしまうため、キャップには明るめのカラーをチョイス。さりげなく帽子とビーン・ブーツのソールの色を合わせているのも隠し味です」
メンズ・レイヤード術③
プロスペクト・ハーバー・フィールド・コート + スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ
ジャパン・エディションのヒット作。ボディには軽やかで伸縮性のあるポリエステル100%にして、コットン調の表情を楽しめる独自ファブリック「テックダック」を使用。さらに特殊な全面プリントと製品洗いを加え、いい具合に着古されたフェード感を表現。
同シリーズの柔らかな肌触りを生み出しているのが、手間を惜しまない丁寧な起毛加工。生地の表裏にそれぞれ8回ものブラッシングを施すことで、ふっくらとした風合いに仕上げている。こちらはチャコールグレーを基調にしたシックなチェック柄。落ち着いた配色だけに、生地の柔らかな表情がいっそう引き立つ。
「初めてオンラインストアで見たときは、ハードルが高そうだと感じたファイヤーレッドのフィールド・コート。ですが実物を手に取ると、鮮やかな赤ではなく深みのある落ち着いたトーンなうえ、ユーズド風味の色褪せ加工がされているので思いのほか取り入れやすい。この存在感を生かすため、ネルシャツには主張が控えめなチャコールグレーを選びつつ、チェックでアウターのカラーを拾って統一感を図りました。今日はビーン・ブーツを履いてヘビーデューティーにスタイリングしましたが、もう少し都会的に寄せるなら足元でも色を拾って赤茶のモカシンシューズを合わせるのもよさそうです」
ウィメンズ・レイヤード術③
プロスペクト・ハーバー・フィールド・コート + スコッチ・プラッド・フランネル・シャツ
メンズモデルの特徴を引き継ぎながら、トレンドの短丈で仕上げられたウィメンズバージョン。色落ちした黒のコットンキャンバスを思わせる、ヴィンテージライクで表情豊かなルックスが持ち味。
伝統的なタータンを、今の着こなしに取り入れやすく更新してきたのも、同シリーズが90年愛されてきた理由のひとつ。こちらはスコットランドの由緒あるタータンをアレンジし、長年着込んで色褪せたような明るいトーンに仕上げている。ダークカラーが増えがちな秋冬スタイルにもよく映える。
「メンズライクななかにも、レディなムードを大切にしたコーディネートです。ショートアウターとロングスカートの組み合わせは、間違いなくバランスよくキマる鉄板コンビ。ともにグレーで揃えてクールに仕上げつつ、明るいカラーのネルシャツで個性をプラスしました。こだわりは、袖口を折り返して手元からもチェックを見せているところ。こうするとジャケットのフロントを留めた場合も、手元から覗くチェックがスパイスになって上下グレーでも単調になりません。さらに、ポッテリしたビーン・ブーツで足元に重心をもってきてスタイルアップ効果を狙いました。チェックの色をビーン・トートで拾うとリズムが生まれ、いっそう小気味よく仕上がります」
歴史を“重ねる〞フィールド・コート×フランネル・シャツ
創業者が開発し、丈夫さと悪天候への強さでブランドを代表する一着となったフィールド・コートは1924年生まれ。丁寧に起毛したコットンフランネルを用い、由緒正しいタータン柄を採用したスコッチ・プラッド・フランネル・シャツは1936年生まれ。合わせて200年近い歴史を刻む両者を重ねてみると……あれ!? なんか新鮮じゃない? まだ少し暑い日はネルシャツ一枚、冷えてきたらコートを羽織って。ロングセラー同士だけあって、相性は文句なし。むしろその“いなたい”ムードが今っぽかったり。何より、歴史ある名品同士を重ねれば、着こなしにも自然と奥行きが生まれます。
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